パプリカ感想その1/2

評価:9/10点
表題の作品を映画館で観てきました。取り敢えず、非常に面白い映画であったのは間違いないです。
以下、まずはネタバレ無しの感想。
今敏監督作品は「パーフェクトブルー(以下PB)」、「千年女優」と観て今作が3作品目(東京ゴッドファーザーズは未視聴)ですが、共通しているテーマが「現実と虚構の境界の融解」。「PB」と「千年女優」ではフィクション(アイドル/映画)と現実の境目の曖昧さを描いていましたが、今作ではよりストレートに、夢と現実の境目の曖昧さを描いています。
こういったテーマは、やはりアニメに一日の長があるな、と改めて思いました。夢と現実の場面転換が驚くほどスムーズで、これは現実ではなく夢なのでは?というシーンを連続して畳みかける所は流石。これが実写だとどうしてもCGの有無で境界がはっきり分かれてしまうのでは無いかと。
しかし、この夢と現実の境目の溶解、という成果はアニメという表現技法による部分だけでなく、物語の展開の早さ、場面転換の早さが非常に効果的に機能したのも大きな一因なのではないでしょうか。90分という短い上映時間ということもあり、終始疾走感が途切れなかったという点で、私は先日の「時をかける少女」より面白かったと思います。
総じて、一歩間違えば衒学趣味に走りがちな哲学的なテーマでここまで娯楽性の高い映画となったのは流石の一言。普段アニメ映画を観ない人にも是非観て欲しいなと思わせる傑作です。


さて、ここまでがネタバレ無しの感想。
以下はネタバレ有りの感想です。









  • 酷い目に遭うイケメン

「PB」の時にもちょっと感じたのですが、今監督はポイントポイントで悪意というか、シニカルな視点を混ぜてくるな、と。
今作の一番の被害者は文句なしに研究助手の小山内君。取り入った権力者の理事長(よぼよぼの下半身不随の爺さん)には貞操を奪われ(泣)、夢に入るための機器を盗む為に自分をアイドル視している同僚のいかにもオタクな研究者(男)にも体を売り(泣)、そうやって悪事を働いた結果手に入れたあこがれの女性(主人公)には散々罵倒され、あげくに助けに来た中年のおっちゃんに背中撃たれて死亡。
酷い、酷すぎる・・・(苦笑)。
山寺宏一声のイケメンが散々酷い目に遭い、ヒロインを助けるのは完全に中年のおっちゃん。んで結局ヒロインが好きなのはオタクでガキでエレベータに乗れないくらいのピザデブ研究員。もう完全に狙ってるとしか思えません。人間見た目じゃないとは言いますが*1、ここまで極端にそれを見せつける作品は珍しいんじゃないかと。
そんなことを本筋とはちょっと離れて思ったりしました。非モテの人達にもお勧め・・・なのか?(苦笑)。

*1:実際ヒロインの主人公が言う。