小説版パプリカ感想

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)


評価:6/10点
アニメ映画の原作を一気読み。金曜日に映画を観て、翌土曜日に購入して本日火曜日読了。やはり本は一気読みに限ります。最近電車などで細切れに本を読むことが多くて消化不良に陥っていたので、本を読むペースを取り戻す良い機会になりそうです。ちなみに映画の感想はこちらこちら
以下感想。
かなり映画は原作に忠実なのだな、と思いました。媒体と尺の違いから省略した部分は多いものの、映画は大筋では原作に忠実でした。完全にオリジナルなのは、粉川が元映画少年に設定されている点でしょうか。これは今監督作品に映画との関係が深いのが原因かと。先のエントリーで書いた映画の「人形のイメージ=押井監督へのオマージュ」説はやはり外れですかね(苦笑)。
逆に映画で省略された側面の(ある意味)一番大きなものがこれ。とにかくヒロインのパプリカがモテモテ。完全に所謂逆ハーレム物です。映画が想い人一筋なのとは対照的です。恋のライバルとなりそうな女性キャラも登場しない。ヒロインの周囲の女性には敵となる不細工かおばさんしかいない*1。これは掲載誌が女性誌なのが大きいのかな、と。少女漫画と同じ構造。
クライマックスのスラップスティックっぷりは中々に圧巻でした。流石に筒井作品。
全体的には娯楽の部分と教養・哲学的な部分で巧くバランスを取った佳作、といったところでしょうか。あまり筒井作品は読んでないので、次はもっとキレた作品を読んでみたいところ。

*1:女の敵は女メソッド。