風の歌を聴け

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)


評価:4/10点
今年は大学で村上春樹の作品を読む授業を選択しました。そこでの最初の課題図書が上記の村上春樹のデビュー作。
私の村上春樹歴は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」文庫版を上巻までよんで挫折したのと、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読んだくらい。どちらかと言えば忌避してる作家です。正直何が面白いのか全く解らない(苦笑)。しかし、本読みとしては村上春樹を読むためのコードくらいは持ってないと不味かろう、ということで講義を選択してみました。所謂文学者や評論家の人がどんな形で純文学を解釈するのか、というのに興味があったのです。*1
んではこっからは作品の感想。
まず、授業前の初読の感想。つまらん(苦笑)。どうしても純文学のプロットの起伏のなさにいらいらしてしまうんですな。*2それから「世界の終わり(略)」でも感じたのですが、女性登場人物の描かれ方が人形のように都合のいい様に描かれていて非常に気持ち悪い。自分の純文学の読めなさを再認識しました。
んで授業後の感想。結構見直しました。「鼠の彼女=小指のない彼女(ネタばれ)」とか「主人公の前の彼女も妊娠が原因で自殺している(ネタばれ)」とか、初読では全然気づきませんでした。この辺、伏線の張り方が非常に巧く、ミステリ小説のようで面白かったです。ただ、初読の時に感じた女性に対する描写の違和感は、あまり間違っていなかったようです。女性蔑視的な視点はあるようですね。*3
全体の評価としては、授業で見直したけどやっぱり受け付けない、ということで4点。
この授業がなかなか面白く、毎週楽しみです。今後もう一回「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読まなければならないのが難点ですが(苦笑)。

*1:ちなみにこの授業の講師は(初期の)村上春樹作品支持派。大学でそういう人は珍しいんですかね。

*2:所謂山なし落ちなし意味なし、と感じてしまう。行間に壮大なテーマが込められてるんだよ!とか本当はあるんでしょうが(苦笑)、その辺を読み取るコードが自分にはないんでしょうね。

*3:夏目漱石村上春樹の作品はホモソーシャル的という点で共通している、との事。何だか納得しました。漱石の「こころ」もそんな感じだったなぁ、と。