象の消滅

- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03/31
- メディア: 単行本
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評価:5/10点
どうにも村上春樹の長編が好きになれないのですが、短編は結構面白い、という事をサークルの後輩に聞き、そのまま短編集を1冊借りて読むことにしました。それがこれ。
去年見た目の奇抜さが書店で気にはなっていたのですが、読める機会が出来るとは思っていませんでした(苦笑)。
んでは以下、短編毎に感想。
- ねじまき鳥と火曜日の女たち
- 評価:7/10点
- ねじまき鳥クロニクルを読んでないので何とも言えないのですが、かなり面白かったです。何の意味もなさそうな話は、それなりに好きです。
- パン屋再襲撃
- 評価:7/10点
- 前編と同じ設定ですか?それすらよく知らないのですが、同じく楽しめました。
- カンガルー通信
- 評価:5/10点
- ワンアイデアの勝利。でもセックスの話はいらなくないですか?なくても充分日常の中の非日常を描写出来ると思うのですが。
- 四月のあるはれた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて
- 評価:5/10点
- ほぼショートショート。ちょっとした妄想。戯言だけどね、とか言ってみたくなるようなどうでもいい話。どうでもいい話、ってのは悪いことではないと思います。
- 眠り
- 評価:4/10点
- 相変わらず女性視点は下手くそだなぁ、と。ワンアイデアものとしてももうちょっと上手く料理すれば良いのに・・・といった所。落ちがいまいち。
- ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界
- 評価:6/10点
- タイトルで既に勝っている。それ以上でもそれ以下でも無い話。こういうぽんとオチまで飛躍する話はそれなりに好きだったり。
- レーダーホーゼン
- 評価:4/10点
- 「重要なのはレーダーホーゼンなのよ、わかる?」すいません、解りません・・・。
- 納屋を焼く
- 評価:5/10点
- 投げっぱなしジャーマンなオチ。確信犯的に気持ち悪さを演出してる感じ。嫌いじゃないけど、積極的に評価はしたくないな、と。
- 緑色の獣
- 評価:4/10点
- 所謂幻想小説。アイデアも展開も微妙、という至極微妙な話。
- ファミリー・アフェア
- 評価:6/10点
- 長編にも出来そうな話。妹視点での話も見てみたいな、とも思うが、面白くはならないだろうなぁ。
- 窓
- 評価:5/10点
- アイデアはそこそこ、でも別にセックスしなくてもいいじゃん、な話。
- TVピープル
- 評価:7/10点
- 幻想小説に納得のいくオチなんか必要ない、という見本のような話。アイデアも筋もなかなか。
- 中国行きのスロウ・ボート
- 評価:6/10点
- 綺麗にまとまった話。こういう「なんだかよく解らない世界に対する違和感」を表現するのは上手いなぁ、と。
- 踊る小人
- 評価:4/10点
- 似非ファンタジー。微妙。
- 午後の最後の芝生
- 評価:5/10点
- 意味があるのかないのかよく解らない話。むしろ意味とか深く考えたら負けだろうか?
- 沈黙
- 評価:4/10点
- プロットは非常に良いと思うのだけど、春樹文体で書かれるとなんだか空虚な感じになるんだよなぁ、と。
- 象の消滅
- 評価:4/10点
- 幻想小説としてはかなり微妙な感じ。象が消滅する、というワンアイデアも滑ってるなぁ、と。
こんな感じでございました。全体的な印象としては村上春樹は幻想小説は下手なんじゃないか、と。正直ワンアイデアの切れ味は例えば乙一あたりに勝てない気が。独特の文体は確かに魅力だと思いますが、発想力と話の展開力は微妙な感じがするんですよね。もやもやしたオチは評価が分かれるところかと。個人的にはそれはそれでありですが、好きではないなぁ、と思ったり。取り敢えず途中で投げ出さなかっただけでもこれまでの春樹歴からすると上出来。