感想:新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド
評価:5/10点
- 作者: スガ秀実,渡部直己
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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サークルの後輩から借りた物。
別に作家になりたいわけでもないので書評・文章評として読ませて頂きました。
以下感想。
とにかく昔の純文学は技術も思想も凄かった、それに較べて今の文学は・・・という論調でちょいとげんなりしました。例えるなら西尾維新からの借用ですが、「昔のファミコンは凄かった。それに較べて今のPS2のソフトは志の低い糞ばっかりだ」とかとか言われてもどうしようもない訳ですよ。そもそも当時のファミコンだって糞ゲーが大半だったわけで。それは文学といえど同じでしょう。名作として100年後に残った物と今のベストセラーを比較して今の作品を貶めても何の生産性も無い、と思う。さらに言えば当時と現代は文体も社会状況も大きく違うわけで、当時と同じようには読めるわけが無い。それをあえて読むのが「教養」だとは思いますが、「教養」は役に立たないから「教養」な訳で。良い文章書きたきゃ100年前の文学を100冊読め、って言われてもそれで文章上手くなるのかなぁ。
それから清涼院流水の
「宮本武蔵ほど見事にではないが、隆造は両刀を巧みに使いわけた」
という一文を引用して、渡部氏は
その男、ペニスが大小二本あるわけね(笑)。
と揶揄するのですが、これって明らかに誤読では?*1バイセクシャル→両刀使い→宮本武蔵と連想していくことに、さほど違和感は感じないのですが。単に著者達がサブカルチャーに疎く、「お約束」を理解出来ていない気が。*2
ともあれ、著者達が「文学」に対して過度の期待をしていて嫌〜な気分になりました。別にいいじゃん、クズ小説ばっかりでも。ほら、スタージョン先生も「SFの90%はクズである。ただし、あらゆるものの90%はクズである」*3って言ってるし。そんなものでしょ。
まぁ、でも面白くない物を面白くない、ってちゃんと言うのは大事だよなぁ、と。