感想:神様のパズル

評価:7/10点

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)


「宇宙を作ることができるのか?」という壮大なテーマを基に、私大の物理学研究室で繰り広げられる物理学談義。
正直内容はかなり難解なのだけど、主人公が留年寸前の落ちこぼれなため「なんだか良く解らない単語が飛び交っている」状態で作中もスルーされ、それがリーダビリティを保っている大きな要因かと思われます。
正直主人公の知識の無さは文系の自分でももう少しは知ってるぞ、というレベルなのですが、並の物理学部生レベルにしてしまうともう一般書としては破綻してしまうのでこれくらいがちょうど良いのかも。
全体としても壮大なテーマで駆動するSF的な部分と、人間関係や将来で悩む青春小説的な部分のバランスが非常に良い作品です。
伏線が最後までに一通り回収されているのも見事。
いわゆる「ツンデレ」なヒロインがなかなかデレないのも抑制が効いていてポイントが高いです。
総じて小松左京賞受賞作なのも納得な良作です。
次作以降も読んでみようかな。