感想:愚者のエンドロール

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)


評価:6/10点
米澤穂信2冊目読了。古典部シリーズの2作目です。
本作は古典部の4人が「未完の自主制作ミステリ映画」を鑑賞し、事件部分の推理を行っていく、というあらすじ。
以下感想(ネタバレ無し)。
作中のミステリ映画の推理、という時点でメタミステリの匂いが濃厚ですが、当然のように軽めのミステリ論を始めとしてメタな議論が展開していきます。通常のミステリのように当事者(容疑者や目撃者)に対して調査を行うのではなく、映画の小道具係等、ちょっと中心から離れた人の推理を聞いて検討する、というのが捻りがきいてるな、と。
メタミステリ的にも本作の肝が「誰がorどうやって殺したか」ではなく「脚本家の意図はどこにあったのか」というのが面白いな、と思いました。ただ、それならば主人公の推理に解りやすい「論理的な隙」を作らなくてもメタミステリで押し通せば良かったんじゃないかなぁ、なんて思ったり。
ともあれ、ミステリ的にはそこそこの佳作なんですが、前作と併せても地味な印象が否めない(苦笑)。ストーリー方面かミステリ方面(かキャラ方面・苦笑)でがつんとインパクトを与えてくれないと、自分の中でのプライオリティが低いままで終わりそうです。もう1作読んで判断してみるかなぁ。