感想:ブレードランナー ファイナル・カット 


評価:8/10点
ブレードランナーファイナルカット版(ディレクターズカットのリマスター版、と言ったところ)を新宿のバルト9で鑑賞。平日の昼過ぎにも関わらず7〜8割席が埋まっておりました。
以下感想。ちなみに前提条件として、私自身全くの初見ですので以前のバージョンとの比較は全く解りません。ご了解下さい。
SF映画の古典的名作、ということで以前から観ようと思っていたのですが、25年前の映画がリマスターでここまで凄いものになるとは思っていませんでした。ほとんど全く色褪せた感じがしないのはまさしく驚異的、の一言です。正直最初の工場(?)の煙突から炎が巻き上がるのを上空から映したカットと、タイレル社のカットは正直鳥肌がたちました。
それにしても膨大な情報の奔流、と言っていい程視覚情報の密度が高い映画だな、と思いました。西洋と東洋の文化が混在した町並みなど、今観ても十分な強度を持った世界観だと思います。日本語/日本文化の多用は80年代の日本脅威論がバックにある(為、現在には通用しない)と思いますが、それでも雑多で暗くてカオスな未来観は25年を経た現在でも通用するんじゃないかと。日本語や芸者(や強力わかもと・(笑))を中国語etcに変換するだけで十分いけそうな感じ。
ストーリーに関しても、自我の存在の曖昧さ、記憶の不確かさ(自分の持っている記憶は本当に自分のものなのか?ねつ造されたものではないのか?)、ヒトと人工知能の違いはどこにあるか?等、そのテーマ性は現在でも通用する普遍性を持ち続けているように思います。
ところで、主人公がレプリカントなのかそうでないか、というのはかなり議論になっているようですが、私は人間説を推したい所。クライマックスの鬼ごっこのひりつくような緊迫感と恐怖感は主人公が人間だからこそ成立するものかな、と。でも正直五分五分、って所だろうなぁ・・・。
この映画を観た事がある人も無い人も、自信を持って勧められる映画です。そんなにグロくもないし。