感想:キサラギ


評価:9/10点
昨日観てきました。3連休の渋谷はなかなかの混みっぷりでした(ほぼ満員くらい)。
あらすじは公式等を見てもらうとして、以下感想。
非常に面白い映画でした。ここ最近では一番のヒットかもしれないくらい。とにかくギャグが決まっていて、終始笑いっぱなしでした。台詞の切れが非常に良い。これは脚本の勝利かな、と。
それから事件当日の回想部分がコマ落としで進むのですが、これがなんともシュールで絶妙に面白い。


ミステリ読みとしては、ミステリ部分もかなりの高評価でした。カテゴライズするならばいわゆる(?)集団討論型の安楽椅子探偵もの*1、という感じでミステリ作家で言うなら西澤保彦氏の初期「タック・タカチ」シリーズが一番近いかな、と*2。ともすれば残酷な真実を追究するのではなく、あくまで推測の範囲内で皆が納得出来る程度の論理的妥当性があり、かつ皆が幸せになる結論に着地していくのはこの映画らしくて良いなぁ、と思いました。
伏線の張り方が非常に丁寧で、回収の鮮やかさはミステリのお手本のよう。まぁ、その分解り易過ぎて筋が読めてしまう、という欠点はありますが、映画としてはこれくらいがちょうど良いかな、と。


非常に脚本の完成度が高く、芸達者な出演陣の巧演技(特に香川照之氏の怪演が最高)と相まって良質の映画になっております。単なるイケメン映画じゃないぞ、と*3。あまり上映館数は多くありませんが、非常にお勧めの映画です。


余談ですが、エンドロールのベタベタのアイドルソングに合わせて出演者がオタ芸コールをするシーンでこれまで爆笑していた観客が一斉にドン引きしていたのが非常に印象に残りました(苦笑)。やっぱり小栗旬目当てのオタクに免疫の無い人が多かったのかな、と(苦笑)。

*1:古典映画で言えば「12人の怒れる男」のコメディ版と言えば解りやすいかと。

*2:エグイ部分を抜いてスラップスティックに特化していますが。

*3:そもそもイケメンは二人しかいませんが(苦笑)。二人とも演技は初見でしたが、かなり良い役者さんだな、と思いました。その意味でも顔だけじゃない、良い配役だと思います。