密閉教室

密閉教室 (講談社文庫)

密閉教室 (講談社文庫)


評価:7/10点
のりりん初読了。法月綸太郎氏のデビュー作でございます。
ちなみに読んだきっかけはこちらの記事。
2006-12-23 - フタゴ・フラクタ
表面上のあらすじを書けば、クラスの教室内で見つかった惨殺死体をめぐり、探偵かぶれの高校生が推理を行っていく、ってなもんでしょうか。
こういう良く言えば過剰に大人びた、悪く言えばこんなガキいねぇよ!的な主人公の登場する青春小説は、すべからく世界の現実を目の当たりにするしょっぱいラストになるもんですが(例:麻耶雄嵩「あいにくの雨で」)、この作品もそのお約束に漏れず相当にしょっぱい結末となっております。青春なんてもんは空回りして、無力感と絶望感に打ちひしがれながら血反吐の海をはいずり回るのが正しい青春の過ごし方、なんて事を思ったり。いや、実際そんな状況は勘弁ですが(苦笑)。
作品としては章立てが非常に細かく(100を越える)、非常に読みやすかったです。人物描写もなかなかに緻密であり、「人間が描けてない」とか、そんな感想は露ほども持ちませんでした。
ちょっと他の作品も読んでみようかな、と思えるほどには良い作品でした。暇があったら続きも読んでみようかな、と。