2006年度読了図書ベスト10

明けましておめでとう御座います。ですが、ブログ更新上はまだ旧年!と言うことで日付が31日で更新出来る内に旧年の纏めエントリーを挙げてみたいと思います。昨年(2005年)は10代ニュース風エントリを上げましたが、今年は素直に作品ベスト10で行きたいと思います。小説、ラノベ、一般書等ジャンル不同です(除く漫画)。

発刊は2003年ですが、文庫落ちが期待薄なので結局今更ながら買ってしまいました。少年少女向けの作品ながら、生ぬるい救いなど一切無い、切れ味鋭い作品で御座いました。それにしても2006年は結局1冊も新刊が出ませんでしたね(泣)。まあ、この人の場合は日記で日常的に文章に触れることが出来るのでそんなに気にならないのですが、逆に生活が心配になります(苦笑)。文庫の印税で取り敢えずしのいでるのかなぁ…(失礼)。2007年こそは新刊に期待したいと思います。

そんな殊能氏の2005年最後の仕事がこの編著。感想は結局書いてませんが、見事な短編集です。SF小説とも、ミステリ小説とも言い難く、あえていうなら「幻想小説」、それが一番しっくりくる小説です。原文が難解だとの評通り、若干読みづらい訳文ですが、寧ろここまで訳したなぁ、と思える出来です。お勧め。

スタージョンでしたが、非常に完成度の高い作品でした。一応ミステリ短編集と銘打たれていますが、そこまでミステリ度は高くなく、寧ろSFが苦手な人のスタージョン入門書、といった印象。それにしてもこのレーベルは完成度が高い作品を良く出しますね。要チェック。

アニメ映画の上映後に読みました。ランクインは映画と合わせ技で一本、という事で。映画と原作小説、どちらも非常に良い作品です。映画は個人的には2006年ベスト1。夢という狂気の描写を、見事に描いています。

終わりのクロニクル完結から早1年、結局今年は川上氏の新刊は出ませんでしたね…。この2作品は数年前に通販限定販売されたものですが、今年の頭に店頭限定販売でやっと購入できたので併せてランクイン。どちらも、表現としてのライトノベルの限界に挑戦した意欲作です。「TOKYO」は「どんな矛盾も許容する都市(世界)」を舞台にすることで映像表現では出来ない、人間の想像力の限界に挑戦し、(「現在」の自分と「いつか」の自分が幻想でなくリアルに対話、とか、「Nobody」が語りだす、とか普通やりませんて。)「SF」は挿絵の表現力を前面に押し出した、漫画にも小説にも出来ないライトノベルならではの作品に仕上がりました。どちらも通販で現在も入手出来るので、未読の川上作品ファンの方は是非。
それにしても新年早々の川上氏の新刊が楽しみです。1年の充電期間を経て、今年はバリバリ書いてくれそうな予感。

SF冬の時代の終わりを感じさせるSFの良作。この人には、「と学会」会長としてではなく、作家として有名になって欲しいなぁ、と。いや、と学会の本も好きですけどね(苦笑)。

  • 第4位 西澤保彦「神のロジック 人間(ひと)のマジック」感想は[神のロジック 人間(ひと)のマジック:title=こちら]

昨年、一昨年とあれだけ読んだ西澤氏の作品ですが、2006年に読んだのはこの1冊だけ。……あれ?やっぱりシリーズ長編が1冊も出なかったのが痛いな、と(森奈津子シリーズは未読・苦笑)。まぁ、でもこの人はコンスタントに作品を書いてるので気長に文庫落ちを待つ余裕があるのが良いですな。
ちなみに5位と4位はどちらもアプローチの方法は違いますが「神」をテーマに扱っていて、その辺の考察も非常に面白かったです。英題の「Logic of God is Magic of Human」は正に名言。

ノンフィクションから唯一のランクイン。やっぱり新書ばっかり読んでるとなんだかんだで内容が薄くて印象に残りづらいですな。2007年は面倒でも単行本をもっと沢山読まないと。
当著は近年の反動的なアンチジェンダーフリー運動に対して、中道寄りな立場から、実際のジェンフリ運動家の方まで、様々な観点から解説を行っています。若干当事者としての感情的な文章も目立ちますが、全体としてはジェンダーフリー運動の現状を知る上で比較的バイアスの少ない、良書に仕上がっています。
個人的にはこの感想のエントリーで初めてはてなブックマークの注目エントリー入りしたのが印象に残ってます。なかなか本の感想ではブックマークされませんからねぇ(苦笑)。

ミステリ読みとして何だかんだで今年も麻耶氏の年でした。「蛍」は今年のミステリではベスト1です。そして「鴉」は絶版になっていたのを探しに探してやっと見つけたもの。どちらも文句なしに傑作でした。まぁ、人にはあまりお勧め出来ない作品ですが(苦笑)。来年も新刊を出してくれると良いなぁ…(厳密には「蛍」も今年の新刊ではないですが。)。

はい、何故か相当昔の、とっくに完結した作品が堂々の1位です(苦笑)。刊行当時は図書館と立ち読みで読んでいたため手元に無かったのですが、今年の半ばにブックオフで一気に集めてしまいました。でも、本当に良い作品ですよ?シリアスな長編も併せて、オーフェンシリーズはもっと評価されてよい作品だと思います。ギャグ短編の無謀編は特にギャグライトノベル史上屈指の出来。これ以上にギャグ短編の面白いライトノベルを私は知りません。一時期は全短編のレビューをしようかと本気で思ったほど(苦笑)。ということで、2006年度堂々の1位でございます。

  • 総評

全体的には小粒な感じの1年でした。何かこう、強烈にがつんと来る作品に出会えなかったなぁ、と。これも読書量が減っているのが最大の原因。下半期はペースが半分以下に落ちてしまい、結果として惰性で買う本ばかりになってしまったと。やっぱりバイトばっかりやってると駄目ですね(苦笑)。睡眠時間を削ってでも2007年は読書の時間を確保したいなあ、とそんな事を思ったり。
そして教養書の読書量が相変わらず少ない(苦笑)。月1〜2冊は新書でなく単行本を読む!!ってのを2007年の目標にしていきたいと思います。うん、頑張ろう。