神様ゲーム
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/07
- メディア: 単行本
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評価:7/10点
講談社のジュブナイルシリーズ「ミステリーランド」の麻耶氏の作品を購入。このシリーズ購入は殊能氏に続き2冊め。
あらすじはアマゾンから引用するとこんな感じ。
小学4年生の芳雄の住む神降市で、連続して残酷で意味ありげな猫殺害事件が発生。芳雄は同級生と結成した探偵団で犯人捜しをはじめることにした。そんな時、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。大嘘つき?それとも何かのゲーム?数日後、芳雄たちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を?芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが……。
以下ネタバレなしの感想。
こちらのブログでも書かれてますが、少年少女トラウマ製造器としては本作はあまりにも露骨過ぎます。これが間違ってミリオンセラーなんかになった日にゃあ*1PTAから有害図書認定される事請け合い。しょっぱなから戦隊物のロボット名が「ジェノサイドロボ」とか、「ネクロフィリアロボ」とか、露骨過ぎです先生(苦笑)。
ミステリとしては、あらすじにもあるとおり、「神様」が全ての答えを知っており、「WHY」「HOW」等の部分をすっ飛ばして「WHO」の部分だけを主人公の少年に提示します。そして主人公がその「解答」までの「途中式」を推理する、という形式。この時点で探偵の絶対性を否定するアンチミステリ臭ぷんぷんですが、更に「神様」は主人公が丹念に築き上げた論理的な途中式を最後の最後に見事なまでにひっくり返します。それはもう完膚無きまでに。しかもその解答が主人公にとって最悪に最悪を掛けたような最悪の内容。
ちなみにその解答は、辛うじて伏線のようなものも張ってあるのでぎりぎりフェアかな、と。まあ、他の麻耶作品だともっと酷いのもありますしね(苦笑)。これくらいはある意味想定の範囲内。
全体としては、他の麻耶作品でも頻出する「真実を知ることの残酷さ」がストレートに表現されています。
それにしても主人公の不幸度はかなりのものですな。何より「36歳で絶対に死ぬ=それまで自殺すら出来ない(ネタバレ)」のだから。
さて、そうなるとメインの読者層は大人、という事になるわけですが、私の様な麻耶ファンには充分楽しめる内容でした。相変わらずの世界の崩壊感と、アンチミステリっぷりを存分に見せつけてくれます。人を選ぶ作品ですが、読めば必ず何らかの心に残る物があると思います。それがプラスかマイナスかは人それぞれですが(汗)。こういう作品をあえて麻耶作品初読者の、純粋な人に読ませてみたいなぁ、と。子どもに読ませる勇気は正直ありません(苦笑)。
*1:まぁ、九分九厘有り得ない訳ですが(苦笑)。