零崎軋識の人間ノック

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)


評価:6/10点
それなりに久々の西尾維新。まあ、連載物もハードカバーのノベライズも未読なのでしょうがないかな、と。
以下感想。正直戯言シリーズ未読者を考慮に入れていませんがご了承下さい(苦笑)。
正直主人公の軋識君が全然強くない。中身の詰まった金属製の釘バットなんていうべらぼうに凶悪な武器を持っている割には全然良いところ無し(苦笑)。まぁ、しかし考えてみれば戯言シリーズそれぞれの巻で初登場のキャラは大概そんなに強さを発揮してない(例えば双識や玉藻あたりもこの巻の方が全然強い)ので、こんなもんですかね。対照的に双識の方は強さもキャラの濃さ*1も前作より格段にアップしていて嬉しい限り。この感じだと、逆に数年後早蕨兄弟に苦戦する*2のが信じられないのですが、そんなもんですかね。
そんなわけで今回の話は、「俺TUEEEE!!最強!」と思ってた兄ちゃんが、実は「俺ってそこまで強くないかも・・・。」と思い直すところで終わる話かな、と。本来ならばそこでもうひとつ反転して「絶望的な実力差があっても頑張れば気合いで困難を乗り切れる!」って話が締めに来るはずなのですが、今回は微妙に宙ぶらりんな感じで終了。オチが無いわけではないのですが、保留な感じがどうにも拭えない話でした。小者感漂う軋識君の今後に幸あれ(苦笑)。
そしてちょっと全体的な話をすると、どうもこうしてみると意外に西尾氏はキャラ作りに関してはスロースターターな印象が。新キャラの登場時はどうしても口調や外見などの表面の設定を出すのがメインで、中身の作り込みは動かしながら後出しでやってる感じがするんですよね。これを必然と見るか、技量不足と見るかは微妙な所ですが。
西尾氏の、世界観を小出しにして徐々に広げていく、という手法にも通じる所がある気がします。良く言えば引き出しが多くかつ拡張性が高い、悪く言えばその場しのぎで取り敢えず取り繕って後でアップデート、といった所でしょうか。
ともあれ、戯言シリーズ完結後も外伝の零崎シリーズはまだもう何冊か続きそうなので楽しみにしていきたいと思います。

*1:変態っぷりが尋常じゃない(笑)。

*2:前巻の「零崎双識の人間試験」の話