ある日、爆弾がおちてきて
- 作者: 古橋秀之,緋賀ゆかり
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
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評価:7/10点
2チャンネルのライトノベル大賞2005年下半期受賞作。読もうかな、という記事を書いてからほぼ半年(苦笑)。やっと購入、読了しました。
作品としてはSFマインドにあふれた短編集です。取り敢えず短編毎に感想をば。
- ある日、爆弾がおちてきて
- 評価:6/10点。表題作。昔気になっていた子そっくりの女の子が空から降ってきて、でもその女の子は人間じゃなくて最新の高性能爆弾で・・・と言う話。
- 考証無用。考えるな、萌えるんだ!という感じ。あざといなぁ。
- 評価:6/10点。表題作。昔気になっていた子そっくりの女の子が空から降ってきて、でもその女の子は人間じゃなくて最新の高性能爆弾で・・・と言う話。
- おおきくなあれ
- 評価:7/10点。幼なじみの彼女が一時的に記憶が退行していく風邪に掛かってしまって・・・という話。
- ツンツンな彼女が退行を重ねるにつれデレデレに・・・というのは誤読な気もするが。もうちょっとページ数を割いてもいいのになぁ、とか思ったり。オチはベタながらも秀逸。
- 評価:7/10点。幼なじみの彼女が一時的に記憶が退行していく風邪に掛かってしまって・・・という話。
- 恋する死者の夜
- 評価:9/10点。死者が復活し、生前の行動をただ繰り返す世界。主人公は死んだガールフレンドとの遊園地デートをただ繰り返す・・・という話。
- 本書内最大のヒット。短期間で生者と死者の比率がこうも逆転するものか、とか色々と突っ込みどころはあるが。でもこういう救いのない話は好きですな。死病に冒された彼女を無理矢理連れ出したら死んじゃった、ってのはセカチューに対するパロディ?とか思ったり。「希望に満ちあふれる筈のデートを繰り返す絶望」ってプロットはまさに秀逸。
- 評価:9/10点。死者が復活し、生前の行動をただ繰り返す世界。主人公は死んだガールフレンドとの遊園地デートをただ繰り返す・・・という話。
- トトカミじゃ
- 評価:5/10点。図書館の神、略してトトカミさんの話。
- ベタですな。幼女が実は神様で古語調で話す、とか。欲を言えばもう一ひねり欲しかったなぁ、と。
- 評価:5/10点。図書館の神、略してトトカミさんの話。
- 出席番号0番
- 評価:6/10点。順に同級生に憑依を繰り返す肉体の無いクラスメートの話。
- 発想の勝利な感じ。自分はこの出席番号0番の日渡君、性別のニュートラルな人物として読みました。
- 評価:6/10点。順に同級生に憑依を繰り返す肉体の無いクラスメートの話。
- 3時間目のまどか
- むかし、爆弾がおちてきて
- 評価:8/10点。60年前の戦争で落とされた新型爆弾「時空潮汐爆弾」。その爆心地に居た女の子は、60億分の一の速さで時間が進む空間に閉じこめられたまま平和記念公園のモニュメントになっていた・・・という話。
- 設定の段階でオチはほぼ決まったようなものなのだけれれど、オチまでの流れも、オチの描写も非常に秀逸。
- 評価:8/10点。60年前の戦争で落とされた新型爆弾「時空潮汐爆弾」。その爆心地に居た女の子は、60億分の一の速さで時間が進む空間に閉じこめられたまま平和記念公園のモニュメントになっていた・・・という話。
まとめ。
非常に綺麗にまとまった短編集でございました。ラ板大賞を取ったのも頷けるかな、と。黒古橋と称されるようなドロドロぐちゃぐちゃした部分を取り除き、萌えに特化したような感じでした。しかしどうも各短編が過去のSF作品に対応しているらしく、表面上の取っつきやすい萌えの裏にある重厚なSFマインドは流石、だと思いました。
ちゃんと売れてる*1ようなので、たまにこういう一般受けする作品をちゃんと書いて収入を確保して、また初期三部作のような狂った作品を書いて欲しいな、とか思ったり(苦笑)。
*1:購入したものは第3版でした。