ブルースカイ

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)


評価:5/10点
最近話題の桜庭一樹による昨年発行のSF小説。ちなみに桜庭氏の小説を読むのは初。
以下感想。
まぁ、書影を見れば分かりますがこの表紙だけで勝ったも同然ですな。実際、以前から私は書店で見かけて何度も買いそうになりました。
内容としては一人の少女を軸にした、3つの世界の物語。
1章では魔女狩りの熱狂が吹き荒れる17世紀のドイツにおける「少女」という概念が生まれる以前の10歳の女の子が視点人物。
2章では2022年のシンガポールにおいて、最早「少女」が絶滅し、強くなった女性に代わって弱くなっていく「青年」が視点人物。
そして3章では2007年の鹿児島において、当に今「少女」となっている女子高生が視点人物。
概念としての、「あるもの」ではなく「なるもの」としての「少女」がテーマです。
SFとしては設定をほとんど曖昧にしているのでその辺期待するとかなり肩すかしを食らいます。今作では精々舞台装置くらいに考えておいた方が良いかも。2章で一瞬1章がメタ世界、作中作だと匂わせる描写がありますが、どうやらそれは違う様子。しかし膨大な裏設定を思わせる描写が多く、同じ世界設定でまた何冊か書けるのではないかな、と思わせます。
読んでいて女性視点が上手すぎて違和感のある作品だな、と思っていたのですが、読了後プロフィールを見て納得。実際女性作家だったんですね。道理で上手いわけだ。ペンネームで完全に騙されました(恥)。
総括としてはSFとしては微妙ですが、小説としては最後の締めの綺麗さもあってそれなり。富士ミスの「GOSICK」も読んでみようかしら*1

*1:正直男性作家だと思っていたので男性作家でゴスロリが主人公かよ!と思って敬遠してました。認識を改めて読んでみようかしら。