博士の愛した数式

410401303X博士の愛した数式
小川 洋子

新潮社 2003-08-28
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第一回本屋大賞受賞作が文庫落ち、という事で買ってみました。
中々真っ当なドラマで面白く読めました。

しかしどうにも老数学者の「記憶が80分しか持たない」という設定を生かしきれていないような。
こういうトリッキーな設定を使う割にはいたって普通の使い方しかしてないんですよね・・・。
実生活では致命的な筈なのに、主人公の家政婦さんと案外スムーズにコミュニケーションが取れてるし。

同じ設定を使ったものとして映画「メメント」がありますが、
こちらは細かい所でおかしな所はあるものの作品全体としては成功していたように思います。

それから作品全体を占める数学の話は、まぁ、こんなもんでしょう。
こういうのは専門性に走ると大多数の読者が置いてけぼりを食らうので、
ああ、数学って綺麗だな、と思わせる程度で十分。
そういう意味ではこの作品は装飾として巧く機能させていると思います。

適度な薄さですし、一般受けしそうな本だと思いました*1

*1:セカチューと違ってこれは純粋に褒め言葉です。