感想:黒の貴婦人
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評価:8/10点
西澤保彦のタックシリーズの第3短編集。
文庫化されたので早速購入。
ちなみに第2短編集は版元が祥伝社の為か未だ文庫化されず(苦笑)。
基本的にこのシリーズ、短編集は時系列がランダムなため、
登場人物の基本設定さえ掴めばどれから入っても問題ないと思います。
さすがに長編は順番に読まないときついですが・・・。
このシリーズ、自分としてはキャラクターが好きなのでどうしても評価が甘くなります。
純粋ミステリとしては5〜6/10点かなぁ。
「招かれざる死者」
相変わらず著者は勘違い男の描写が巧い。
世界の全てを自分の都合の良いように解釈する人って現実にも結構一杯いるからなぁ・・・。
ミステリ的にも中々巧くまとまっていたように思います。
「黒の貴婦人」
謎解きよりも長編と長編の間を繋ぐフォロー的な話がメイン。
正直謎と巧くリンクしてないような気がするのはご愛敬、か(苦笑)。
「スプリット・イメージ―または避暑地の出来心」
匠千暁卒業後の話。
相変わらずレ○ネタが好きだなぁ。
ここでも勘違い男登場。
「ジャケットの地図」
人間の心理を推測するのは難しい、ましてや死人ならばなおさらだ。
とか思ったり。
パズル的なミステリで動機を推理するのは厳しいのではないかな、と。
「夜空の向こう側」
吹奏楽部、と聞いて同じ著者の「黄金色の祈り」を思い出しました。
タックとタカチは卒業後も遠距離恋愛で続いてるよ、
という近況報告のような話。
同じ著者のチョーモンインシリーズと較べて、
このシリーズの匠千暁(タック)と高瀬千帆(タカチ)の関係は好感が持てるのは何でだろう?
チョーモンインは三角関係だからって訳でもなさそう。
おそらく人称の問題だろう。
チョーモンインはほとんどが主人公(男)の一人称なためラブコメ的な心の葛藤が地の文でストレートに表現される分、
感情移入し辛いのかもしれない。